エッセイを始める前に……、蒼井のコンプレックス

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今となっては、蒼井の母が蒼井を愛してくれているのは実感しているのですが、まだ小さな蒼井にとっては母の愛情を理解するのではなく、歪んで捉えてしまったのだと思います。 蒼井の母方は驚くほど美人家系です。 どちらかと言うとハーフ顔。 そして、みんな透き通る様な色白です。 しかも鈴の様な二重目に黒髪のストレートヘア。 まさしくお姫様集団かと思う位でした。 蒼井の母は、出産した直後に、 「家の子、二重ですか?」 そう、言ったそうです。 母方の親戚が集まると、どれだけモテたかの武勇伝が始まります。 仕事終わったら、誰がデート出来るか出待ちされたとか。 どれだけ告白されたとか。 ラブレターが下駄箱に毎日入ってたとか。 (本当に?) 蒼井は全て父方に似ていました。 父に似て、一重目で色も一般的な黒くも白くも無い普通色。 頭も普通。 母方は美人な上、皆足も早くリレー選手ばかりな上、かの日本一の大学にも多々進学しているのですから、全て普通の蒼井は母にとってのコンプレックスだったのかもしれません。
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