16人が本棚に入れています
本棚に追加
「凜憧さァーん、何読んでんのぉ?」
甘い、まとわりつくような女子の声が隣のクラス...3組から聞こえてきた。
凜憧...って栞のことだよな。結構珍しい苗字だし。
さっき嬉しそうに3組に出かけて行ったから、多分大野さんと話しに言ったんだろうとは思ってたけど...。
何となく嫌な予感がして、それとなく3組の方を覗き込むと。
(うわっ...)
小さく俯く栞は、明らかにギャルっぽい女子数名に絡まれていた。
もう絵ヅラが完璧にカツアゲなんですけど...。
ギャル女子のリーダー格らしい女子が、可笑しそうに続ける。
「凜憧さんってさ、ずぅっと本読んでるよねぇ。やっぱアレ?孤独を紛らわす的なー?」
「根暗ー。ってかあんな文字列ばっか見て何が楽しいの?拷問じゃん。凜憧さんもしかしてドMとかー?」
ぎゃはははっ、と笑うギャル達。何それ超ウケるんですけどー、と取り巻きたちが言う。...お前らはこの会話の流れのどこにウケたんだ。誰か説明してくれ。
栞はより一層深く俯いた。
タチ悪いな...俺が止めに入りたいけど、それが元でまたなんか言われるかもしれねぇしな。
悶々としていると、黙っていた栞が顔を上げた。
「...違い...ます」
「はぁ?」
「私は...私の、ことはバカにしても、構わないです」
栞は震える声でそう呟き、キッとギャルを睨みつける。
「でも...本のことをバカにするのだけは許せない...世の中に本が苦手だって人がいても、それは仕方ないと思います。でも、それが本を全否定していい理由にはなりませんっ」
最初のコメントを投稿しよう!