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放課後。
俺は図書室のドアを開け、いつものように本を読みふけっている幼馴染に声をかけた。
「うっす」
「...ふぇ?あ、けーくん!今日は遅かったねぇ」
本好きの図書委員・栞が本から顔を上げ、ふわりとした口調でそう言って微笑む。
俺はいつもと変わらない彼女の様子になんとなく安堵しながら言った。
「ちょっとな...授業遅刻して反省文書かされてたんだよ」
「へぇ...そっか」
意外そうにそう呟き、栞はまた本を開く。
...マジで本好きだなぁコイツ。
俺は返却棚にある本を重ねて持ち上げながら尋ねる。
「んで?今日は何の本だ?」
すると栞は「よくぞ聞いてくれました!」とばかりに目を輝かせて説明しだす。
「今日はね、夏目漱石の『坊っちゃん』だよっ!」
「あ、確か前...教科書にも載ってなかったか?」
「そうだねぇ...ほんのちょっとだけだったけどね。この本、かなり昔に書かれた物だからハードル高いかなぁって思うでしょ?でもね、読んでみたらすごく面白いの!新人教師の主人公が色んなことに立ち向かってく話なんだけどね...嫌いな先生にあだ名つけたり、生徒に手を焼いたり...現代とも感覚が似てるし」
「ふぅん...面白そうだな」
珍しく読めそうな予感がして身を乗り出すと、栞が「借りる!?今すぐにでもどうぞ!」と本を差し出してきた。
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