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げっ、...思ってたよりも分厚い。
俺は苦笑いを浮かべつつ、やんわりと断った。
「お、おー...また時間のある時に借りるわ」
「...そう言って借りたことないくせに」
じいっ、と栞が上目遣いに睨んでくる。...ごもっともです。
冷や汗をかきながらいそいそと、返却棚の本を本棚に戻していく。
ずっと黙ってるのもなんだかな、と思ったので、俺は何気なく尋ねてみた。
「栞。大野さんとは仲良くできてるか?」
「...うんっ!日和ちゃんとは最近よく話すんだ!」
大野日和...以前図書室に来て悩みを相談してから、栞と友人になった女子生徒だ(詳しくは【お悩み1】読んでください)。
日和ちゃん...か。もう名前で呼び合うようになったのか。
昔から大人しくて本ばかり読んでいた栞には、友達がいなかった。
幼馴染の俺はそんな栞の辛そうな姿を一番傍で見てきたし、栞に大野さんという友達ができて...ホントに嬉しい。
「そっか。良かったな」
「うん...」
栞が2つに結んだ髪をふわりと揺らして目を細めた。
俺は棚に本を戻し終え、栞のいるカウンターに向かう。
その時。
ギシシシッ、ギイイッ!
図書室の古い扉が、ひどく軋んだ音を立てる。
その後に扉が叩かれるドンドンズシズシという音が鳴り響き、栞が驚いたように目を丸め、本をぱたりと閉じた。
「返却...かなぁ」
...にしてはちょっと荒っぽい気もするんだけどな。
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