お悩み2 消えたペンケースを探してください!

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「開いてます。入っていいですよー」 扉の向こうに声をかけると、「失礼します!」という声とともにギッシギシと軋みながら扉が開く。 その隙間から顔を出したのは、小柄な男子生徒だった。 上靴の色からして、一学年下の1年生だろう。 「あ...」 「まさかとは思うけど栞...知り合い、か?」 驚きながら栞の腕をつついて囁くと、彼女は小首を傾げた。 「1年6組の小泉(こいずみ)(けん)くん、ですよね?一昨日の昼休みに『はじまりは花言葉』って小説を借りた...」 出た!栞の『本に対する驚異的記憶能力』! 1年生男子の小泉くんとやらも、呆気に取られて目を丸くしている。 おい...栞。お前完全に引かれてるぞ。 「そ...そう、です」 口の中でモゴモゴと呟くように言い、小泉くんは抱えていた本をカウンターに出した。 透明感のある少女漫画のようなイラストが表紙の、文庫本よりも少し大きめの本だ。 「返却ですね?私も好きですよーこのお話。児童小説の文庫から出ているシリーズの、少し年上向けの続編なんですけど」 「そうなのか?」 「うん。小学生の頃から読んでるんだけど...こっちのシリーズだと主人公が高校生に成長して、等身大の感じがすごく好きなんだ!あ、あのね、この主人公は...」 ノンストップで蘊蓄を喋り出す栞。 俺は口元を引きつらせながらそれを止める。 「そんぐらいにしとけ、栞。1年生引いてんぞ」 「へ?......あっ」 急に我に返ったらしく...栞、完全にフリーズ。
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