お悩み2 消えたペンケースを探してください!

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ありがとうございます、と呟いて小泉くんはそれを受け取り、左手にシャーペンをさらさらと紙に走らせた。 几帳面そうな角張った字がペンケースの中身を綴っていく。 シャーペン2本とHBのシャー芯、シンプルな白い消しゴム、15センチ定規、携帯型のハサミ...。 「確かに...特に変わったものは入ってないよな」 「はい...思い当たるものはこれぐらいしかないんですけど...」 2人揃って首を捻っていると、シンキングモードだった栞が勢いよく顔を上げた。 「いえ、他にもあるはずですっ!」 「「えっ?」」 栞は2つに結んだ髪をゆらゆら揺らしながら立ち上がり、小泉くんの手にしていたシャーペンを取り上げた。 そして紙の余白に『押し花の付いた栞』と書く。 小泉くんは驚いたように目を丸くして固まった。 栞は急にスイッチが入ったように語り出す。 「小泉くんはよく図書室に来てくれますけど、いつも本を読む時に...綺麗な押し花の付いた栞を使っていました。かなり古いもののようだったけど状態も綺麗で...きっと丁寧に扱ってたんだろうなって。...ペンケースにはその栞も入ってたんじゃないですか?」 「そうなのか?」 隣に座って少し俯いている小泉くんを見て問う。 小泉くんはふっと目を逸らして頷いた。 「...はい」 「どうして黙っていたんですか?」 栞が単刀直入に聞く。...いや、そりゃあなんか理由があるんだろうからそこはちょっとオブラートに包むとかしろよ。 普段は自己主張が弱すぎるぐらいなのにな...。
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