お悩み1 友達がほしいです!

4/14
前へ
/40ページ
次へ
「何の本、読んでるんだ?」 栞の手元を覗き込むと、栞はぱあっと顔を輝かせてふわっ、と微笑んだ。 「えっとねぇ、『西の魔女が死んだ』っていう本だよ。題名だけ聞くとファンタジー作品かなって思うでしょ?でも違うの。主人公の少女・まいとそのおばあちゃんの話なんだけど、すごく心が温まる話なんだ...けーくんも読んでみなよ」 「んー、できたらな」 「もー...そう言っていっつも読んでくれないよねっ」 むくれたようにぷうっと片頬を膨らませる栞。 あのなぁ、俺だって勧められた本を読んでみようとしたことぐらいあるぞ? ……ただ、読むのが恐ろしく遅いから途中で挫折するんだよな...。 なんとなく居心地の悪くなった俺は、カタリと立ち上がった。 「で、俺は何すればいいんだよ?」 「あ、そこの本こっちに持ってきてくれないかな?私1人じゃ運べなくて」 「ん、わかった」 俺は返却棚に積まれている本を抱えあげる。 ハリーポッターか...映画は見たんだけどなぁ。 パラパラとページをめくって挟まっている物がないかチェックする。 何もないよな...。 コンコン。 古い扉がノックされる音がした。 「本の返却、かなぁ?」 栞が首を傾げた。 「あ、入っていいですよ」 俺が扉の向こうの誰かに声をかけると、重い扉がゆっくりと開いた。 それと同時に入ってきた明るい茶色の髪の女子生徒が、消え入りそうな声で「失礼します」と呟く。 なんか、派手な見た目なのに意外な感じだな...。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加