16人が本棚に入れています
本棚に追加
大野さんの明るい茶色の髪が日射しを受けて透け、キラキラと輝く。
どっちかっていうとギャルのグループに入りそうな容姿なのに、そんな様子じゃない。
暗く伏せた瞳は少し潤んで、今にも泣きそうだった。
「...っあの、大野さん?」
「ハイッ!?わ、あの」
「いや、なんか辛そうだと思って……大丈夫か」
大野さんはピクンと肩を震わせた。
その頬を透明な涙が伝う。貸出カードに小さな水たまりができた。
「ほわっ!?コレ...大野さん、どどど、どーしたんですかっ」
栞がびっくりして顔をあげた。
「な、泣いて、いるんですよねっ!?何でですか」
「アホ栞!お前他人の感情に疎すぎんだよ、そんなズケズケ聞くなっつうの」
テンパって無遠慮な言葉を口にする栞と、それをバシバシ叩く俺。
大野さんは呆気にとられたようにぽかんと口を開く。
「お、おふたりは図書委員さんなんですか」
「あぁうん。...ってか幼馴染なんだよ、俺と栞は」
「けーくん、放課後しか当番来てくれないよね。それも時々だし」
栞がまた頬を膨らませた。...うっ、それ言われると辛い。
大野さんはフッ...と小さく微笑んだ。
「ん?どーした」
「あ、ごめんなさい。おかしいとかじゃなくてその...幼馴染っていいなぁ、って思って」
……よくわからないが涙は止まったようで良かった。
最初のコメントを投稿しよう!