16人が本棚に入れています
本棚に追加
そして大野さんは言った。
「よかったら聞いてくれませんか、私の話...」
「私...友達が欲しいんです!」
「ほえっ?」
「お、おぅ...」
唐突な大野さんの言葉に、栞も俺も面食らう。
と、友達……ねぇ。
「いないんですか?友達」
「アホ栞!何ずばっと聞いてんだっ」
「...だって私も...いないし」
栞がうつむき加減に呟いた。
あ、まずい話題だったか...?
大野さんはふふっと笑った。
「いいんです。変に気を使われるよりいいし...」
そして明るい茶色の髪を指に巻きつけながら続ける。
「……私、この髪染めてるわけじゃないんです」
「へっ……?」
失礼だけど染めてると思ってた。かなり明るめの茶色だしな。
「私はハーフなんです。だからこんな髪の色で……中学の時、ずっと染めてるって言われてて。どんなグループにも入れてもらえなくて...だから私、高校デビューしようって思って!派手めなグルーブに頑張って入ったんですっ」
でも…と大野さんは自嘲気味に笑った。
「ダメなんです。あの中にいるの」
「あの中ってその...グループってことか」
「はい...私、本とかすごく好きなんですけど、そういう趣味の人全くグループにいないんです」
「ほっ……本が好きじゃない人のグループ!?わわ、辛いですね」
栞が辛そうに肩をすくめた。
最初のコメントを投稿しよう!