16人が本棚に入れています
本棚に追加
「大野さん...」
瞳をゆっくり揺らしながら、栞が顔を上げた。
しっかりと大野さんの瞳を見据えて、口を開く。
「私も同じ...です」
「...っ」
「私も本が大好きで、ずっと読んでいたいって思ってて...そんな気持ちをわかってくれる人はいなくて、それを伝えられるほどの勇気もなくて、...1人になっちゃうんです。いつもいつも」
ざぁっ、と窓から強い風が入り込んで吹きつけ、大野さんの透けるような茶髪が揺れる。
栞はゆっくりと優しい笑みを浮かべた。
「大野さんは...すごいと思う。わたしは何もできなかったけど、大野さんは友達を作るために行動できたんですよね?それが結果的に良い方向に向かってるかはわかんないけど...でも、多分すっごくいいことですよ!」
「凜憧さん...」
「...えっと、俺もそう思うけど」
俺もおずおずと口を開くと、大野さんは瞳に驚きと歓喜の入り交じった光を浮かべた。
...俺は...この2人と全然違うタイプの人間だし、読書だって苦手だ。
でも、そういうことじゃなくて...。
「何か新しいことに踏み出すって怖いし...派手なグループとか絶対近づけないって思うよフツー。...すごい勇気だと思う」
最初のコメントを投稿しよう!