君といた僕を失っても

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(それは、僕だって……変わりたく、なかった)  両親の都合により、君から離れると知った時、ショックを受けた。  けれど、僕は平静に、君を見守るような仕草で、言ってしまったんだ。  『――また、会えるから。違う場所で、一緒に、がんばろう』  思春期になりかけた僕の、情けない、見栄。  それが、君の顔を、あんなに歪ませるなんて……想わなかったんだ。 「……一緒にいてくれるのが、嬉しかった。避けようとする私に、いろいろなものを見せてくれて。必死に、絵も、描いてくれて」  泡となり、散りながら。  その言葉は、僕の胸深くに、打ち込まれる。 「でも、私のせいで、あなたは帰ってきてくれた。言霊の呪いの、せいで。それは、いけないことなのに」 「いけなくなんか、ない」  ようやく絞り出せた、自分の言葉。  その声も、愛しさも、聞きたいと願っていたものなのに。 「私は、最初から、幻だったの。あなたが描いてくれた、砂の上の、絵のように」  ――あの時と同じ笑みで、そんな悲しい話を、どう受け止めればいいんだ。 「そんな幻を、あなたは恐れず、触れあってくれた。人と、つなげてくれた。……ありがとう」 「でも、そんなの、あんまりじゃないか……!」  僕は想わず、別れの言葉のように語る彼女へ、絶叫していた。
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