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『うわぁ、意外~。テツぅ、昔を懐かしんで、今が嫌になってのぅ?』
『違うって! 今回のウェブ同窓会に併せて、スキャンしたの! 昔を想い出そうっていう、ナイスアイディアだろ?』
『いやぁ、こんな恥ずかしいことを実行するとは……。昔の黒歴史、好んで見たい人ばかりじゃないのにねぇ』
『そういえばぁ、デリカシーってのがないのを想い出したよぉ』
『……なんか俺、さんざんに言われてます』
そうは言いながらも、送られてきた写真は、当時を想い出すものばかりで。
確かに、気恥ずかしくなるようなものも多くて、驚いてはいるけれど。
「でも僕は、嬉しいよ。懐かしくて、うん、想い出してくる」
『優斗ぉ……。やっぱりお前、変わらずいいヤツだなぁ』
『ほんとほんとぉ。格好良くもなってるしぃ、都会だとモテて大変じゃないのかなぁ?』
「そんなこと、ないよ」
実際、それは本当だった。
確かに、好意を持たれたり、告白されたりしたことはあったけれど。
(どこか、僕は冷めているって、言われていた)
僕自身も、たくさんの魅力的な異性と出会ったけれど、強い想いを持つことはなかった。
「……これ、懐かしいね」
話をはぐらかすように、電子化されたデータアルバムに話を戻す。
『おっ、お前こんなにムスっとしてたんだな』
さっきのやり返しとばかり、テツが幼いリンの写真につっこむ。
『その日はたまたま調子が悪くて……あんただって、こんなに目つき悪いじゃないの!』
『そ、それは、記念の写真だからカッコつけようとして……』
『えぇ~、泣きそうだったのぉ、アタシ知ってるのにぃ』
『おま、それはいうなよ!?』
アルバムを見ながら笑いあう様子は、確かに、そこに収められた写真の子供達と同じもので。
「はは、みんな、変わらないなぁ」
変わらないやりとりに、想わず、笑ってしまう。
『そりゃ、そうだろ。人間、そうそうは変わらねぇもんさ』
『そうね。それに、それを言うなら優斗の方が……なんだか、変わってないかも』
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