1人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕が、変わってない? そうかな」
『そうねぇ、カッコよくはなったけどぉ……雰囲気が、かなぁ』
頷く三人の様子から、驚いてしまうけれど、否定しづらい。
「これでも、仕事ではがんばってるって、言われるけれど」
『ん~、そうじゃなくて……。子供から、そのまま大人になっちゃった、って言うのかな』
リンがそう言うのなら、そうなのかもしれないと想えてしまう。
クラス委員をこなしていた彼女は、周囲をよく観察して、行動するのが得意だったからだ。
『海月さんと遊んでいた頃の……あぁ、そうそう。笑ったところなんか、この頃と、良く似てるかも』
「あ、あぁ……この写真、ね」
映し出された写真に、さすがに少し口ごもってしまう。
それは、海月さんという想い出の少女と、僕だけが写された、二人きりの写真だったから。
『それしかなかったんだよね。海月さんが、きちんと写っている写真』
リンの言うとおり、実は、海月さんを写した写真はこれ一枚しかなかった。
先生達も、もちろん生徒も驚いたけれど、事実だったから仕方ない。
おまけに、海月さんは体調不良により、全体写真も一緒に撮れなかった。
――海月さんは、全員が並んで撮られた写真の、右上に添えられている。別の場所から貼りつけられた、無地の背景とともに。
(いつもいるのに、どこか、遠かった)
だから僕は、海月さんのことを、いつの間にか追いかけていたのかもしれない。
『優斗には、笑ってたんだよね』
「あれ? 他の人とも、遊ぶようになってたよね」
転校当初は、確かに誰にも笑いかけなかった海月さん。
だけど、次第に少しずつ、触れあっていたような。
最初のコメントを投稿しよう!