第一章 ユートリア

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第一章 ユートリア

「ねぇ。彼を見た?」 俺は探している。いつものことだけど。 「ユートリアを知らない?」 その場にいる皆が首を横に振る。皆、知らないようだ。そう思ったが、その中の一人が手を上げて、知っているという合図を俺に送ってきた。 俺はそいつの傍に行った。そして尋ねた。 「どこで見た?」 そいつは、手元にある本から目を上げずにこう言った。 「三日前、砂漠で」 「砂漠? 様子は?」俺は、そいつに詰め寄る。 「……嬉しそうに……探してた。何かを」 「何かって何……」 そう聞きかけたが、そいつは、もう言うことは無いと言うように、俺を押しやった。 まぁいい。情報は手に入れた。 だけど、探し物か。そうなると暫く帰って来ないに違いない。彼の探し物は中々見付からないだろうから。なんたって人生そのものなのだから。
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