発明

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発明

人々は、長い歴史の中で様々なものを発明してきた。 樹上の生活で木の実が少なくなったときは 草原で獣の肉を獲ることを発明し 生肉で病に倒れると、腐った肉を切り分ける刃と火を熾して安全で 栄養のバランスの取れた調理法を発明した。 船を造って海を渡り、頑丈な家で風雨を防ぎ 畑を耕し食料受給を安定させた。 集落が大きくなると、リーダーや組織。 争いを収める武器、規範。 人は怪我や病気をすると、その程度に応じ手間や時間をかけて治療する。 薬や食事、休養手術。 怪我や病気は発明によってその治癒の及ぶ範囲を広げられ 致命的でなければ、快癒する。 戦争は、直接に人命、権利、心を傷つけ奪い去る。 それはまるで人間社会が自ら心の病によって 自傷行為を繰り返しているようにも見える。 死に至るほどの傷を前世紀に負ったはずの社会は 完全な治療法を発明するには至らず 全快することのない病に冒された現代社会には どのような発明が必要だろうか。
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