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不思議の国のアリス
私がまだ小学校にあがる以前、恐ろしくてしようのないおとぎ話があった。
『不思議の国のアリス』である。
当時、文字の読めなかった私は、姉と一緒に母から読み聞かせてもらった絵本の内容に驚愕した。
正気とは思えない理不尽な命令にも、迷うことなく従う兵士たちから追いまくられ、どうやって逃げたのか良く分からないが気が付くと平和な日常に戻っている。と受け取った物語りのラストに納得する答えを見つけることが出来ずに子供の私はとても混乱した。
『不思議の国』で経験した恐ろしい出来事は、全て夢の中のお話だったとは理解することが出来なかったのだ。
そのため、うさぎを追って穴に落ちて…(穴に落ちるというだけでも、怖いのに!)…からのアリスの冒険の世界は、私にはおどろおどろしく映り、一時は絵本に触れることすら恐ろしかった。
そんな『不思議の国のアリス』が普通に読めるようになったのは、何時からだったのだろうか?
物語の主人公と自分自身を分離して本を読むようになったから、と考えるのは平凡過ぎて面白くないので、私自身が、恐れていたお話しの意味を曲がりなりにも理解する努力を始めたことで、例え主人公に感情移入している状態でも怖がらずに読むことが出来るようになっていった。と、思いたい。
何れにしても、あのような理不尽な状況に迷い込むのは、おとぎ話の世界だけに止め置いておきたいものだが、何事にも動じない主人公のメンタルの強さは常日頃から見習いたいと思っている。
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