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11 草井菌
放課後の体育館裏は処刑場だ。
僕はいつものようにイジメラれていた。
いじめ軍団は僕と同じ3年D組の生徒だ。
「草井、金持って来たのかよ!?」
鮫のように鋭い目をした長身の穂村耕作が脅してきた。僕の名前は草井治。この名前で随分苦労した。
「そんな大金無理だよ」
昨日、同じ時刻同じ場所でコイツから5万持ってくるように脅された。
「うるせー!」
耕作のパンチが僕のミゾオチを抉った。
僕はその場に倒れ痙攣した。
コレが死ぬってことなのか?
D組の奴らは笑って見ている。
「ブザマだな!」
熊のような体型をした内山源太が罵声を浴びせてきた。
「死ねよ!」
眼鏡をかけた優等生タイプの中島和樹が僕の口に砂を入れた。
「明日こそ持ってこいよ?」
去り際に耕作が言った。
正気に戻ると怒りが込み上げてきた。
何で俺ばっかりこんな目に遭うんだ?
幼稚園のとき昼寝の時間がミンナにもあったと思う。僕はある日眠れずにいた。
そのことを担任のミチコ先生に話したら、「うるさいなー」とものすごい熱い部屋に閉じ込められた。夏の日だったから熱中症になりそうだった。
僕はこのときハジメて『殺意』を覚えた。
小学1年生のときには学級委員の女の子から「草井君のことキライな人?」と言われて、全員に手を挙げられた。小4の林間学校のときに『草井菌』とからかわれて隔離された。
僕は嫌われる天才らしい。きっと、ギネスで大賞を獲れるだろう。
家路をたどりながら思った。存在を消したい。
『クビリオニ』はナカナカ難しいゲームだ。
豚のしょうが焼きをビールのツマミにしながら食べながら攻略本を読んでいた。
夜中にイタ電をしたりして精神的に追い詰めたが中島は平然としている。
エリア2を探索するとヤミ金業者がある。
『アロワナ』ってヤバそうな名前の会社だ。
アロワナってのは肉食の淡水魚のことだ。
金利は15日3割。大概の客は月に1回の収入だ。
1日3回も支払いさせたら客がもたない。
ナルホド?借金地獄にさせるって作戦か?リアリティがあるな?昔、上モノ客にサクマってのがいた。
市の職員をしているんだが、『ギャンブルにのめり込んじまってさー600万借金があるんです』
私はサクマにタバコを差し出した。
『禁煙中です』
『給料はいくら?』
『30万』
『で、月の支払いは?』
『50万』
『バカか?アンタ』
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