6 クビリオニ

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6 クビリオニ

 鷲崎婦人は美女に生まれ変わった。  北川景子に似ている。 「さぁ、ダンナを殺した犯人を見つけておくれ?」 「こんな古い武器渡しやがって、調子にのってんじゃねーよ」  パイロキネシスで焼き殺してやった。  ビルのナカにある旧式のエレベーターを降りると1500年のヨーロッパにタイムスリップした。   敵兵を火槍で次々に倒して古城へと逃げ込んだ。  あっ、そうそう無能な君にクイズだ。  火槍と書いて何て読む?  1、ヒヤリ 2、カソウ  外道だからさ?口の聞き方知らないんですわ?   半ばゴーストライターだし?心もスサむでしょ?    レオナルド・ダ・ヴィンチが開発したとされる歯輪銃って武器があった。  小さな歯車をネジで巻き揚げて引き金を弾くと、歯車が回転しながら火打ち石とこすれ合い、火花を散らす。火花が火薬に引火すれば弾丸が発射するって仕組みだ。  俺が挑んでいるゲームは『クビリオニ』ってゲームだ。クリアすると賞金500万円が手に入る。  故郷のどこかに鬼の棲む城に入るためのパスワードが隠されているそうだ。  水樹勝夫もゲームに参加していた。  ライバルは少ない方がいい。 「何も殺すことはなかったでしょ?」  死んだはずの水樹の声がした。 「うるせー死人は黙ってろ」 「ヒドイ男だなぁ?子供の頃とかお菓子とかあげたりしたじゃない?」 「そりゃあ殺したことは悪かったよ?ウチの宿傾きはじめてるんよ」 「そんなことのために何で俺が死なないといけないんだ?」 「悪かったね?墓にビールかけておいてやるよ?」 「ビールじゃなくてウィスキーがいいなぁ」 「死んでまで贅沢でしょ?」 「でもさ?何で奥さん殺しちゃったの?パスワードの謎を知ってるかも知れないじゃん?」 「1週間前に尋ねたけど何も教えちゃくれなかった。昔から好きじゃなかったんだ」 「確かに感じの悪い婆さんだったよ?私が尋ねたときなんか孫には紅茶をやって、私には水道水だったんだ」 「水道水じゃ悪いのか?どーでもいいからさ?消えてくれない?」 「ひとりで怖くないかい?化け物でも出てくるんじゃない?」 「うるせー消えろよ」  水樹が消えた。  
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