しにそうなほど

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 あいつは眉を八の字に下げ、俯く。俺はそれきり何も言わず外を眺めていた。もう少ししたら服を外に投げ捨てて車から追い出してやる。それだけすれば懲りるだろう。  衣擦れの音にはっとした。顔を向けることができない。あいつの息を吐く音に耳をそばだてる。  息を吸う。吸った息を吐く。普段なら音さえしないはずのものが、だんだんと耳に入ってくる。吐く息が次第に長く、震え始める。  寒気のようなものがぞわぞわと足元から脳天まで走りぬけた。  濡れた音が小さく立ったところで、意を決して顔を向けた。  視線がぶつかる。あいつは口をかすかに開け、長く深い息を吐く。トランクスは膝まで下ろされていて、両手で支えられたものはすっかり勃ち上がっている。  投光器からの明かりが車内に差し込み、ちょうど握り込んだ手元を照らしている。  俺の喉が鳴る。いつのまにか俺の息も、あいつと同じように上がっていた。 「……マジかよ」 「まじです。おっ、俺、君のことが好きだって言っただろ」  俺に見られていることで性感が増したのか、先端から新たな先走りを溢れさせる。それを自分でカリの周りにこすりつけるようにして扱いている。 「い、イきたい……イってもいい?」  俺を見上げる瞳は潤み、吐く息は震えている。同じ男として切ないのは理解できた。 「お、おう」 「座席倒していい?」     
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