しにそうなほど

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 すまなそうに断わると、背もたれを倒してフラットにし、窓に背を預けて俺に向かって足を開く。  その動作の中で、あいつの尻へシートについていた土埃が移っていたのが目に入る。太ももの裏にも、膝をついた拍子にひざこぞうや脛にもうっすらと乾いた土が付いた。思わず払ってやろうと手が伸びそうになり、慌てて戻した。  あいつはまた、自分のものを扱き始めた。薄汚れた軽バンの中、苦しげな息と濡れた音だけが延々とする。色白の膝についた汚れを見ているうちに、車の中の温度が上がったような気がした。 「ごめん……あの、していいかな?」 「なに、すんの?」 「ここ、いじらないとイけないんだ。ごめんね、気持ちわるいことして」  浅く座り直すと、自分の指を唾液で濡らしてから、陰嚢の奥へ手を伸ばす。   指があそこに入っていく様子から俺は目が離せなかった。再び唾液を足して指が二本に増やされたとき、不覚にも再び喉が鳴ってしまった。  俺はとっくに勃起してしまっていた。それを認めるべきかどうか、悩めば悩むほど混乱した。  考えるのは昔から苦手だ。 「あ、いく……」 「やめろ!」  俺は足首に絡まったままのトランクスを掴んで運転席へ放ると、あいつの肩を掴んで、力任せにうつ伏せに押さえつけた。 「クッソ!」     
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