14人が本棚に入れています
本棚に追加
「中学からの付き合いの俺がこんだけどん引きしてるんだから、御厨先生なんてマジどん引きだろうな。あんまりはしゃいでると、ゼミいれてもらえないんじゃね?」
「そしたら聴講するわ」
「ゼミの聴講ってなんだよ。本当、お前どんだけ御厨先生に首ったけなんだよ」
「なんだよー。御厨先生いいじゃん」
「まあ、美人だけどさぁ。なんかこう近寄り難いし。俺は、串田さんみたいな可愛い系の方がいいなぁ」
同じ一年のふわふわした女子の名前をあげる。
「串田、串田……」
それに響はしかめっ面を作って呟く。
「……なんで、学年一可愛いと言われている子の顔わかんねーんだよ。ほら、さっき黒板消してた」
「ああ、あれな! 俺が消したかったのに、黒板」
「そっちかよっ」
悔しそうに呟く栄に全力で突っ込む。
「お前の頭の中、本当に御厨先生、一色なのな」
「ああ」
誇らしげに頷いた。
「否定しろよストーカー」
「誠二、御厨先生のこと近寄り難いって言ってたけど、あれでなかなかに可愛いところもあるんだぞ。どじっ子だし」
「ああ、それは」
よく教壇の段差でこけそうになっているのを見かける。
「しかも、こけた後の一瞬のやべ、っていう顔のあと、すぐに真顔に戻るとこ。あれ、絶対バレてないと思ってるぜ。可愛いよなぁー」
「あれ、なんだろう。ますます栄がただのストーカーに思えてきた」
「ギャップ萌えっていうやつ? あんな凄い論文書いた人が、あんなに美人で、クールなのに、どじっ子とか、マジやべーだろ」
引き気味の友人を無視して、熱弁を繰り広げる。
最初のコメントを投稿しよう!