第一章

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 次に目覚めたのは、白いベッドの上だった。  親戚の叔母さんが真っ青な顔をして横に立っていた。  全部夢だったらよかったのに。  全部すとん、と理解出来てしまった。  自分を取り巻く世界は変わった。  その日から、彼は「可哀想な生き残り」だ。  史上最悪の魔法犯罪。放火に殺人。重大な犯罪だ。けれども、魔法の行使それ自体ではなんら違法ではない行為。法律の盲点をついた魔法の行使だった。  黒衣の男は言っていた。実験だと。  そう、あれは結局、実験だったのだ。  どんな魔法を使えば法律に抵触しないのか。どこまでの魔法を使えば魔法管理局が動き出すのか。そして、自分はどこまでの魔法を行使することができるのか。  あの男は、それを実験していた。  魔法で心臓を動かされ、延命措置を施され、四肢をもがれ、他の動物の器官をくっつけられ。そこで週刊誌を投げ捨てたから、両親の身に何が起きたのか、正確なところは把握していない。したくない。できない。  ただ、これだけは言える。  魔法なんてなければいいのに。魔法がなければこんなことにならなかったのに。実験ってなんだよ。なんでそんな理由で殺されなきゃいけないんだよ。  魔法を憎んだし、魔法を発見した人間を恨んだ。  周りの同情と好奇の目にも嫌気がさし、心を閉ざしかけていた彼を救ったのは、あの子の言葉だった。 「あなた、魔法士になりなさい」  偉そうに命令されたその言葉。それでも、その言葉が、彼をここまで支えて来た。 「……くん」  叶うことならあの子にもう一度会いたい。 「……まくん!」  だけど、でも、そんなことってあるだろうか。あの子が、敵だったなんて。 「……づまくん!」  あの子が、あの人の血縁で、そして、 「新妻くん!」  耳元で叫ばれた声に、 「はっ、はい!」  裏声で返事をして、慌てて飛び起きた。
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