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「そして、魔法の種類は次から次へと増えていきました。魔法の第一発見者である、御手洗智恵子が発見したのは、基本的な構造だけですから。高度な魔法を発見すればするほど、人々はそれに対する功績を欲するようになった。自分の作った高度な魔法の存在を世界に知らしめたい、ついでにあわよくばそれでなんらかの金銭的な利益を受けたい、特許をとりたい、とか。その欲望に答えるために、また今後の我が国の魔法技術発展の為に、最初に制定された魔法関連法が特許魔法でした。条文で明確に魔法構造、俗にいう呪文が特許の保護対象になることを定めたのです」
言い終わると栄は、マリンに全力の笑顔を向けた。フリスビーをとってきた犬のような、褒めて褒めてという顔。
ぱちぱちぱち、とマリンは軽く手を叩いた。教卓にあるマイクを手に取ると、
「お見事。さすが新妻くん。些か略したところはありますが、現時点の解答としてはパーフェクトです」
ますます笑顔を深める栄に、女性は淡々とした口調のまま付け加えた。
「それから、あなたが結局、私の話を聞いていなかったことがよくわかりました」
「へっ?」
解答を述べるのと同じ音量での間抜けな声。自信満々だった顔が一転して、崩れる。
「そこ、今から話すところですから」
少し笑いながらマリンが言うと、教室中が笑いに包まれた。
「ええっ、そんなぁ」
「……だから止めたのに」
隣で友人が小さくぼやいた。
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