落ちてきた非日常

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落ちてきた非日常

占いの館「水晶宮」 光と水をテーマにしているらしく、天井はガラス張りで明るい 怪しげで暗いイメージがあったから、びっくりした 「綺麗だね」 思わず呟いた言葉に、美保が頷いた 「見て、大きな噴水!」 美保が指さした先には、確かに噴水があった エントランスに1メートルくらいの噴水は、龍のオブジェがついている 手には玉を持っていて、そこからキラキラ水が静かに落ちていた 「もっと陰湿なイメージだった」 「ここは清潔感があって、明るくていいね」 暗いのはもう受けないんだろうか? 「春華ちゃんは本当に占ってもらわないの?」 「まぁ、ね。あんま信じてないし」 信じない人間は当たらないんじゃないだろうか それに、悩みとかあまりないしね 私はどっちかと言えば、人生自力で乗り切ろうというタイプだ だから、占いとかは縁遠い 「ほら、私はいいから美保は行っておいでよ。待ってるから」 「うん? じゃあ、行ってくるね! 終わったらアイスね」 「そこ重要だからね」 手を振って受付に駆けていく友人はとても可愛い 恋してるって、それだけで可愛く見えるんだな… 噴水近くの椅子に腰掛けて、私はぼんやり天井を見上げる。ガラス越しに空が見えた 私には女子力が足りない     
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