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訳の分からない場所で、この人だけが唯一信じられる。その人が「誓って」と言うのだから、信じる以外に道はない
唾を飲み込み、ドキドキしながら数回深呼吸をした
そして自分に「大丈夫」と言い聞かせた
「許す」
途端、重苦しい空気はなくなった
倒れていた人達はようやく息ができたみたいに、倒れたままゼェゼェと息をしている
そして紫廉はとても優しい笑みを浮かべて立ち上がり、お姫様にするように片手を差し伸べてエスコートしてくれた
「有り難うございます、龍姫様」
「あの……その龍姫ってのは、私の事?」
どういう意味があるのだろうか。そもそもここはどこなんだ
「龍姫というのは貴方の事ですよ。貴方はこの世界の秘宝、龍玉に選ばれた姫君です」
「龍玉?」
記憶を探って、思い当たるのは落ちてきた桜色の玉
あれが振ってきて、地面が割れたら空だった
そして助けて欲しくて、その玉に手を伸ばした
ん? なんか私、それを掴んだ時に体に入ってきたような……?
「詳しい話しはもう少し落ち着ける場所で、夜食とお茶を頂きながらにいたしませんか? 疑問が沢山おありでしょうし、ここは落ち着きませんから」
「そう…ね」
確かにここはあまりいい場所じゃない。受けた仕打ちが仕打ちだからだろうか
紫廉の手を取って一歩前に出ると、少しフラフラした
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