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広井は穴の中にゴミが大量に打ち捨てられていくのを見ていた。
こんもりと膨れたゴミは、巨大な鉄塊で潰されていく、その光景は何度見ても凄まじさと恐ろしさを感じる。
ゴミが潰されて行く穴の周りには、あたりには臭気が漂い、毛並みの悪い猫がおこぼれにありつこうと物陰から狙っている。
「たまんねえな、追い払っても追い払っても猫が来やがる、こんなところにいたら病気になるに決まってるのにな。無理やり追い払おうにも触ったらこっちが病気になりそうだしよ」
広井の隣に立ってゴミが圧縮されていくさまを眺めていた反田はゴミの周りに集まる猫を哀れんでいた。
「猫にとっては魅力的なんでしょうね」
広井の言葉に、反田は大きな肩をすくめる。
「たまにゴミに混ざっちまって一緒に圧縮されるんだよ。見つけるこっちの身にもなって欲しいぜ。全く好奇心猫を殺すとはよく言ったもんだ」
無精髭をひっかく反田は立派な体格をしていて、顔も男らしくて迫力がある。ややこわもての見た目だが、義理堅く親切な男であることを広井は知っていた。
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