生体3Dプリンター

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清掃会社の二代目社長には勿体無い人柄に思えるが、癖のある社員も多いこの会社は、反田でなくては務まらない。広井も反田だからこそサラリーマンから転職して、この会社で常務を続けていられるのだ。 「ニーシバの3Dプリンターでは、ポリバケツ1個分のプリントが可能。ご家庭で、靴や鞄のプリントが可能です」 執務室で付けっ放しになっていたテレビでは、コーヒードリッパーを大きくしたような機械が写っている。しかし、機械から流れ出し、形作られているのは、コーヒーではなく、パンプスだった。 「3Dプリンターって、リサイクル品目には入ってないんですよね」 広井は反田に語りかける。 家電大手が家庭用に販売したのを皮切りに、ここ数年で、家庭用3Dプリンターは、多機能便座と同じくらいには家庭に進出している。 だいたい食料品を作ることが多いが、より大型の靴や衣服などを作れるものも家庭用に販売され始めていた。 「いや、リサイクル品目には入ってない。まだ新しい商品しかないから買い替えの時古いのはメーカーが回収してるみたいだし、ほとんどゴミでは出ないな。それよりも作ったものを捨てられるのが厄介だな」 「分別が?」 「いや、家庭用で作れるようなもんは一般ゴミかプラかで十分だけどな……前にペットの頭だけ作ってそのまま捨ててたヤツがいて、騒ぎになったんだよ」 「ペットの……頭を」     
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