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「ほら、お誕生会で、子供の写真のついたケーキとか作ったりするだろ?最近はペットの3Dデータとってペット型で作ったりするのも流行ってるんだ」
「ああ」
「まぁそれはプラだったけどな。しかしプラでも本物の毛みたいになってリアルだろ、原寸大で作って半透明ゴミ袋に入れると犬の生首に見えちまうんだよ」
「………でしょうね、でもなんでせっかく作ったペットのぬいぐるみを捨てたりしたんだろう」
「さあなぁ、まぁ原寸大だと頭しか作れなかった可能性もあるが……。お、電話だ」
反田は、服の中から携帯電話を取り出すと、返事をする。
「はい、高野清掃です。ん?西行?どうした?」
反田の男らしい眉がピクピクと動いた後、広井に目配せをした。
「すまん、広井、揉め事だそうだ。西行のところに行ってくれ」
「西行って西行法子さん?」
広井は訪ねた。
西行法子は女性社員ながら運転手をしている高野清掃の社員だ。少し前に、集めたゴミを1トントラックに積んで処理場に運んでいたはずだった。
「俺でいいんですか? 俺あの子にあんまり話しかけられたことないんだけど」
「んなことねえよ、あいつ基本無愛想だからな、でも美形好きだぜ?お前のことここじゃ一番気に入ってるよ」
反田の命令に従い、広井は、社用車のバンを自分で運転して、連絡のあった場所に向かった。
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