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「そっち、違う、そう、そっちそっち、おお、いーじゃん」
ベテラン社員の秋田が声を上げてクレーン車に指示を出していた。
指示を受けていた車が止まり、中から法子が降りて来る。
秋田に免許を見せている法子の髪の毛は、男子中学生のようなベリーショートになっていた。
高野清掃の事務室から、クレーン車の運転の様子を見ていた反田は広井に話しかける。
「西行髪切ったんだな、でもあれならあいつ体格も割といいし、トラックの運転席だと男に見えるかもなぁ」
「………なんか悪い気がするんですが」
広井が、女性の1トントラック運転手は絡まれやすいと法子に話したことを述べると、反田は一笑に付す。
「別にそれが原因だったとしても、切ったのはあいつだ。気にすることじゃねえだろ」
「そうですが………」
「だいたい、女の運転手は、いかにも元ヤンっぽい髪の毛茶色くて、若干派手なのと、全く地味で、男か女か見分けつかないタイプが多いよ、確かにその2タイプの方が揉め事に巻き込まれにくい」
「そうですか………」
事務室に入って来た法子に、反田は声をかける。
「クレーンの免許取れそうじゃないか、これで何種類だ」
法子は、ポケットから免許証入れを取り出して、反田と広井に見せた。
「5種類、っていうか全部制覇したい」
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