離れていく距離

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俺がグッタリしていると、ドアがノックされた。 「はぁい」 剛が返事をしてくれたので、俺はベッドに寝そべったまま顔を上げずにいた。 「剛さん、あ、蒼衣さんもいますね?こんど≪CODE≫で歌番組の収録ありますので、ドラマの主題歌の2曲、4人で合わせの練習しといてくださいね」 佐治さんが顔を出し、サラッと新しい仕事を告げる。 「4人で?!」 俺が反応すると、当たり前でしょユニット何ですから。と言われた。 まぁそりゃそうだ。 「再来週なのでとりあえずダンスレッスン明日からありますからね~」 手をヒラヒラ振って去っていく爽やかイケメン佐治。 「ダンスかぁ...最近レッスン行けてなかったから踊れるかなぁ僕...」 剛が不安そうにつぶやく。 「オマエ上手いからちょっとやればいけるやろ?それより俺の歌の方がやばいわ...」 タダでさえ死にそうやのに、追い打ちをかけてくるなんて佐治め...。 「それはそうと...4人で、やで?蒼衣、ともとどうなってんの?大丈夫なん?」 剛が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。 そや...それや...。 アイツとレッスンなんてできるんやろか...。斎藤もできるんやろか...。 「まぁ仕事やしな…そんなん言ぅてる場合ちゃうやろ」 とりあえずなんとかなる、と剛に言う。 剛は納得いかないようだったが、特にそれ以上は何も言ってこなかった。
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