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俺は自分のよく知る幼馴染と優しい親友の姿に安心したものの、斎藤に対する仕打ちが何故なのかまた分からなくなっていた。
智の事なら誰よりもよく分かっているつもりだ。それは今も変わらない。
それなのに智の気持ちがわからない。
アイツは誰よりも優しい。俺にも剛にも...でも...斎藤には?
俺は結局モヤモヤしたまま部屋に帰ることになった。
その後戻ってきた剛ともロクに話すことなく、俺は眠りについた。
次の日からは幸い?ドラマの撮影が立て続けにあり、智とほとんど顔を合わすことなく時間が過ぎた。
合わしても俺は挨拶すらしないでアイツを避け続けた。
その間も斎藤は、今度はお気に入りのブレスレットが無くなっただの、また酷いファンレターが来てツラいだの言ってくる。
実際斎藤は日に日にやつれているようにも見えたし、嘘をついているようには思えなかった。
何よりコイツは演技が引くくらい下手なんだ。
撮影帰りの車の中で、お約束の上目遣いでこっそり手を握ってきた時には流石にさり気なく手を遠ざけたけど。
ほんま、女ってよぉわからん...面倒臭い...。
日に日に激しくなる斎藤のスキンシップを躱すのに気を使い、仕事が忙し過ぎて睡眠時間もロクに取れなくなっていた俺はストレスがMAXに近かった。
寮に戻ると久しぶりに剛と顔を合わせた。
どうやらドラマのロケで静岡に泊まりで行っていたらしい。
剛は「これ、お土産~」と、鰻パイをくれた。
夜のお菓子ってなんやねん、てか甘いもんあんま好きちゃうねん...。
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