ヌスマセ

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「何だぁ、これ?」  意味が分からない。  これがインクがかすれていたり、血文字だったり、先ほどのコンビニ本の表紙のようにいかにもおどろおどろしい様子で書かれていたら、くだらないイタズラだと鼻で笑えた。  だが、その文字は印刷された活字のように美しく明瞭で、逆に不気味だった。 「……ま、誰かの悪ふざけだろ」  そう結論づけると、杉本は傘をたたんで雨模様の閑散とした町中を歩き出した。
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