【青森で聞いた二つのお話】

7/11

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
当時の同僚、 C子さんから聞いたお話。 『人形の長い髪』 少し昔のお話です。 青森市郊外に、 とある立派なお屋敷が建っていて、 そこに裕福な一家が住んでいました。 そこの一人息子の青年は… なかなかの『遊び人』で、 普段から外車のオープンカー(屋根が開いたり閉じたりできる車)を乗り回したりしていました。 さて。 その青年には、恋人がいました。 彼女は… それはそれは カナリの美人…。 スタイルも良く… 何より… とても長くて美しい髪の持ち主で、 それは青年の自慢でもありました。 ところが… どういう訳か… ある日、その恋人は青年の元から去って行ってしまったのです。 普段から、とても独占欲が強い青年に… 少し嫌気が、さしてしまったのかもしれません。 青年「ああ…〇子(『元恋人』の名前)…。俺のどこが、いけなかったんだ…」 青年は、ひどく落ち込みました。 そして、月日が流れても、青年は彼女の事を忘れる事ができませんでした。 そこで… 青年は… ある『業者』に大金を払い、 彼女に『瓜二つ』の 等身大のマネキン人形を作らせました。 完成した人形は… 本当に青年の『元恋人』にそっくりで… 一瞬、『生きているのではないか?』と思ってしまうほど精巧に出来ていました。 もちろん… あの自慢の… 長く美しい髪も、とてもリアルに再現されていました。 青年は、大変喜んで、その人形に元恋人と同じ服を着せると… 事有るごとに語りかけました。 まるで… 生きている人間に 語りかける様に……。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加