本当のエピローグ

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「ねえリーエ・・・そろそろ拝命式も終わった頃かしら?」 「ええ、今頃はショウ様達も驚いている頃でしょうね・・・」 王都のブルーノ邸で侍女のリーエがお茶の準備をしながら苦笑いを浮かべると読んでいた本を閉じたマリアはそうでしょうね。と答えながらクスっと微笑んだ。 「お願いですからもう二度と陛下への直談判とか無茶なことは止めて下さいねマリアお嬢様・・・」 「直談判とは何の事ですの・・・ワタクシはこの国の為と思って陛下とお話しただけでは有りませんかリーエ?」 「良く言いますよ・・・お陰で私の寿命が何年縮まった事か・・・」 そう答えながらリーエが頭を抱えるのも無理は無い・・・ショウが爵位を持つ事によってシホの身柄がある程度確保できる事、そしてそのシホが家族で有るショウとリンの二人と一緒に居られる事、そして・・・それが望めない場合はSランカー冒険者で有るリンと前々騎士団長の弟子で辺境伯ドラヴイスからもその腕を認められているショウに加え小さな天使と言われる程の加護の力を持つシホが居なくなる事をマリアはこの国の王で有るバリサムと実父ドーソンへと強く説明したのだ・・・ 「まあ・・・所謂これは脅迫と言う奴じゃなマリアよ?」 マリアによってお茶に誘われたフェリクスはリーエの淹れたお茶を一口飲みながら意地悪そうに笑みを浮かべると、まったくもってフェリクス様の言う通りです・・・と強く頷く侍女のリーエの様子にマリアから、あらあら・・・と困った顔が浮かんだので有る。 「それはそうと・・・其方の側近が一人ずっと落ち込んでいるが・・・?」 侍女のリーエと共にずっと傍に仕えていた盗賊上がりの執事・・・ライヤーの姿にフェリクスが首を傾げると、あっああ・・・と困った様な顔をするマリアに代わり私からご説明しましょう・・・とリーエが呆れた顔を浮かべた。 「マリアお嬢様が先日(・・)の仕事でエリス王国のエルダート王から報奨を得たのは知っておいですね?」 「ああ勿論じゃ・・・王都で起きた魔人騒ぎでは妾と同じで貴族として報酬を全てあのキッツとか言う騎士に渡したと言うのに、ここぞとばかりに爵位を求めるとは少し見そこなったぞ・・・!」 そう答えながら少し不満そうな顔を見せる貴族にしては正義感の強いフェリクスに対し現実主義をモットーとするマリアが当然の報酬です。と答えるのを見てリーエはバチバチとする二人の間に立つとまあまあ・・・と落ち着かせた。 「あの件に関してはローゼン・カンパニーが受けた仕事と陛下もお認めになった事はお分かり頂けますねフェリクス公爵嬢・・・」 「そんな事は分かっておる・・・だからこそ聞きたいのじゃ。一体何を企んでおるのかをな・・・?」 リーエから窘められ自分を落ち着かせる様にフェリクスがお茶を再び飲むと、ええ・・・と答えたマリアから自信有り気にフフッと笑みが浮かぶとその目を見たフェリクスはゾクッとしながら押し黙った・・・ 「ワタクシが望むのは貴族や平民などと言う馬鹿ばかしい階級の無い国を目指す事・・・その第一歩としてエルダート陛下から子爵の地位と領地を頂いたのです。」 そう説明しながら目をキラキラと輝かせるの見る侍女のリーエから、領地と言っても僻地ですけどね・・・と聞こえながらも基本的にマリア信者で有るフェリクスは流石はマリア様ですわ・・・と思案顔を浮かべながら腕を組んだので有る。
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