◇一夜目◇

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 貧乏学生の俺、難波圭人(なんばけいと)が、安いボロアパートに引っ越して二週間。  いつもなら、しんと静まり返っている筈の丑三つ時。  俺は貴重な睡眠を邪魔され、ひたすら鬱々としていた。  ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン……  それは、隣の部屋から聞こえてくる呼び鈴の音。  もう二十分、その音は鳴り続けている。 (いい加減にしてくれよ。こっちはバイトで疲れてるってのに……今何時だと思ってるんだ?)  これだけ鳴らして出て来ないのなら、住人は明らかに留守だろうに。  その内に諦めるだろうと、俺は頭から布団を被り我慢をし続けている。  その音が聞こえ出してから三十分が経った頃。  ピンポーン……  呼び鈴の音がようやく鳴り止んだ。
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