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安田の攻撃で傷つけられた触手は、衝撃を受けたように、西島の身体を放り出し、バタンバタンと床を叩いて、もがきだした。
安田が怪物に与えた攻撃に効果は、充分に、あったようだった。
触手は、さらに激しく、痛みにあえぐように、教室の空間を、青緑色の体液を撒き散らしながら、鞭のように、ぶんぶんと舞った。教室の壁や窓枠、机や椅子にぶつかって、ビタビタと音をたて、潮の腐ったような、すえた精液のような不快な臭いをあたりに漂わせた。そして、まるで、射精時の男根のようにビクビクッと痙攣した。シュルシュルっとメジャーを巻くような音がして、触手は窓から退散した。
やった!
放りだされた西島にかけより、その、か弱い身体を、安田は、しっかりと抱きしめた。
「西島、大丈夫か」
「先生……」
西島は、弱々しく、安田の胸に倒れかかり、がっくりと首を垂れ、気を失った。
「西島!」
安田は、西島の名を呼んで西島の華奢な身体を抱きかかえた。
その時だった。
どぉーんと、窓ガラスにぶつかる恐ろしい音に、安田は、顔をあげた。割れたガラスの間から、触手が再び襲ってきた。
安田は、西島を抱きしめ、かばいながら、後ずさった。
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