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西島は、安田の横に身を横たえた。
「照れくさいな」
安田は、隣に横たわる西島を横目で見て、照れ笑いした。
「なにか、話してください」
西島も、照れくさそうだった。
安田は、想像の、南の島のあたたかい美しい海での、イカ的な交接を思い浮かべ、西島の耳元で、ささやいた。西島は、うっとりしたようだった。
ふとんの中で手足をからめあい、手を握るだけで、二人は満足した。
安田は、西島の髪に鼻を突っこんだ。
イカ臭いふとんの中で、
「これからも、して……。今度は、想像でなくて、ほんとうに、中に挿れて……」
と西島は、語尾が消えいりそうに、恥ずかしげに言った。
「だめだよ」
と安田は、なるたけ優しく聞こえるように拒んだ。
「今日は、特別。もう、しないよ」
安田が断ると、
「いじわる」
と、すねたように西島は言って、安田に背を向けた。
西島は、やがて寝息をたて、眠ってしまった。安田も、そのままうとうとした。
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