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だが、ぼうぜんと立ち尽くす生徒の西島は、安田を凝視している。窓の外の目も薄気味悪く、安田を見つめていた。
触手が安田の先に触れた。
「あっ……」
もっと! 安田は腰を動かした。
触手が、茎に巻きつき、締めあげた。
「あぁぁぁっ」
触手は、まるで、人間の男を知りつくし、もてあそんでいるかのようだった。
そんな馬鹿な。こんなイカの化け物が。そうだ。窓の外にいるのは、いや、この目の前の触手は、巨大なイカに違いなかった。だが、陸上でイカが人間を襲うなど!
先ほどから、すっかり勃起して、先から、カウパーを垂れ流していた安田の男根は、触手の粘液にまみれ、締めあげられた上で、先を愛撫された。
「あっ!……あぁぁぁぁ!」
やっと、触手に触ってもらえた安堵感。しかし、強く締めつけられている苦しさ。
「放して……はなしてくれ」
安田の、耐えきれず口から漏れる性的な吐息。西島ののどが、ゴクリとつばを飲み込むのがわかった。彼もまた、興奮している。それは明らかだった。自分が興奮させている。自分の淫らな姿が彼を興奮させている。そう思うと、安田自身も、さらに興奮していくのがわかった。
びゅるるるっ、と新たに長い触手が、目の前にあらわれた。触手が、安田の顔を撫で回した。生臭い。口に入りこんだ触手が、安田の口腔をかき回す。
「おっ……」
臭気に吐き気をもよおす。だが、安田の下半身は、喜びに跳ね上がった。触手は、安田の茎と口を同時に侵した。
バンッと音がして、三本めの触手が窓にぶつかったかと思うと、教室の床に、ドテッと滑り落ちた。触手は、ヌルヌルと床を這いながら、安田に迫ってきた。そして安田の足首に巻きつき、ズボンの内側にはいりこむと、脚を這い上がりはじめた。ビッ、ビリッとズボンが裂けていく。
「お……」
触手に口を侵されている安田は、口の端からイカの粘液と唾液の混じった、ねっとりした液体を糸のように垂らした。
西島が、目を丸くして、安田を見ている。窓の目は、不気味な半眼で、じっと冷たく感情のない眼差しを、ひたと安田に向けていた。
触手は、すねを、膝の裏を、ももの内側を、這いのぼっていく。生ぬるい湿った感触。
い……いい……。
口が侵されているのが、幸いだった。いいなどと、気持ちいいなどと口に出して言ってしまったら。だが、言わなくとも、安田が感じていることは、西島の目に明白かもしれない。
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