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とっさに…
『な、何で俺がお前に自分の体わざわざ洗ってもらわなきゃなんねーんだよ!そんな義理も理由もどっこにもないだろうが…。それに、こんなのって、おっかしくねーか!?』と。
そのあとも疑り深く『何か魂胆でもあんじゃねーのか!?』と続けたかったが、そこまでは言わずにやめた。
すると奴も、つかさず…
『まぁー、いいじゃないか! いいじゃないか!そんな堅いこと言わず今日は俺に任せて置けって…。それに体は正直なもんで、さっきからすでに俺に体、預けっぱなしじゃねーか!?』と。
そうなんだ。自分では態勢整えたつもりだったんだが、うかつにも、あのまま俺はふにゃふにゃと気が抜けたまま、奴に体を預けっぱなしだったんだ。そんなこともあってか。奴も、それが俺からのオッケーサインとでも思ったようで、あとはお構いなしに持ってきたボディーソープをどんどん手に取り泡立てたまま…
『なっ見ろよ!これっ、ほんと泡立ちよくって凄いんだぜ!今に見てろ!お前や俺の体包み込むくらい床から天井に至るまで、このシャワールーム中みーんな泡だらけにしてやっからなーっ!』と何を考えてかまるで、こども時代から仲でもよかったみてぇにはしゃぎながらそう言ってきたんだ。
だけど奴とは入学して以来ずっと、虫が好かない!というか不愉快な存在だったんだ。口をきくのもはばかれ自慢じゃねぇけど高三になる未だ奴とは口すらきいたことがねぇ。ただ救いは同じ学年だったがクラスは別だったこと。それでも同じ学年ということで見掛けることはあったし、それでも絶対、こいつとだけは仲良くならねぇだろう!と思ってもいた。それは的中し向こうも同じ気持ちのようだったんだ。
だから見掛ければ別の意味で以心伝心するみてぇに遠くからでも互い苦虫つぶしたような顔つきで、ガンを飛ばし合ったり廊下ですれ違う際もわざと通行の妨げになるような歩き方をしてみたりと切っ掛けさえあれば、いつでも爆発し兼ねない一発触発の緊張状態にはあったんだ。
俺の人生、まだ高校の域も達してはないが、よくぞここまで、いけ好かない奴も世の中いたもんだと逆に感心してもいたところだったんだ。
それだけに奴が突然、取ってきた、この行動を理解するには俺は頭がわる過ぎたのかも知れない。そんな中、見せてきた奴の気さくで屈託のない笑顔や初めて聞く奴の声や言葉に俺はどぎまぎしながらも
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