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こんな姿を見るなんて奴の意外な素顔に触れた気がして不思議な気もしたし何か異様な感じもした。でもそれは決してわるい意味の異様さではなく、もしかしたら本当はこいつ、いい奴だったんじゃないか!という、してやられたかのような異様さだった。
だけど、そうこうしてる間にも奴が言ってたように泡はウソみたく、どんどん泡立っていき、いつの間にか俺達の体を包み込んでいき、その境目さえ分からなくなっていた。
『どうだい!俺が言ってた通りだろう!あっという間に、こんな感じさ…』
そう言うと互いのボディーラインも泡に掻き消され分からなくなった中、俺の体を手探りするかのように奴は触れてきて、泡を介し本当に汗と泥でまみれた俺の体を洗ってくれてるようだった。それに泡でも介さないと、とても素手では触れられないところまで泡立った手で心を込め優しく丁寧に洗ってくれてるのが泡伝いにも感じられ不思議な心地よさまで感じられた。そして出来ればずっと、このままでいたいような恍惚感さえ覚える自分もまたいた。それは泡の気持ちよさだったのか、それとも奴の心のこもった丁寧な俺への扱いだったかは知らいが、よもやこんな時間が待ってようとは夢にも思ってなかった。
そのうち泡はどんどん溢れ返っていき触られてる感触が奴の手なのか泡なのかさえも分からなくなっていった。泡で体が触れられてるだけでも心までほぐされていくような感じがして自分だけ、こんな心地よい泡まみれにされてることが、わるい気がしてきて今度は俺が奴にしてやらないという気にもなった。
そこで俺は一言…
『ありがとう。俺はもういいから今度は俺がお前にしてやるよ!』
とすると奴も、その言葉を待っていたかのようにして…
『そうか!わるいな、じゃー頼むか!!』とすんなり受け入れてくれた。
こうして、それまでとても想像すらしなかった時間が二人の間に流れていった。それはまるで石鹸の泡が二人を取り持ってくれてるキューピット゛のようでもあった。
知りもしないのに会えば目くじら立て火花散らしてきたことが、まるでバカみたいに思えてきた瞬間でもあった。
こうして共に泡を介し互いの体を洗いっこしてるうち二人の気持ちも、すっかり解放感に包まれ、いつしか泡立った泡を丸めては顔や髪、目や口にイタズラするみたいに、投げ合ったり、無理矢理、押し付け合ってみたりと
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