からかさ小僧始末

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元岡っ引伊兵衛翁より聞いた話 からかさ小僧を看取りましたのは、確かにあたしで間違いございません。 あのおそろしい地ぶるいがおこる少し前のことでしたから、なおさらよく覚えております。 あたしはまだ箸にも棒にも掛からぬ若造で、甚八親分に怒られどおしの日々をすごしておりました。 そんな折ですな。からかさ小僧の捨蔵がお縄にかかって番屋に引っ立てられてまいりましたのは。 おや、学者様。からかさ小僧に名があるのか、お縄にかかるのかとおっしゃいますか。 ははあ、さてはあたしが草双紙のおばけを看取ったと思うておりましたな。
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