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動かなくなった相棒に気付いた桜蔵は、どうしたのかと、彼を見つめた。  すると、少しの後、珪は口を開いた。 「……空振りのような気がしてきた……」 「大丈夫、絶対あるから」  自信たっぷりの笑みで断言する桜蔵に、珪は、訝しげな顔をした。 「毎度思うけど、どっからくんの?その自信」 「経験」 「あーそーだな」  半ば諦めたような息と共に、珪は応じる。 「盗みに関しちゃ、お前のが専門だもんな」 「まぁね~。ホラ、あとちょっと、あとちょっと!」 ニコニコ笑う桜蔵が、珪の肩を、励ますようにポンポンと叩く。  首まで覆う椅子の背に凭れて、珪は、豆大福にかぶりついた。どのみち、途中で投げ出すなんて彼にとってもあり得ない。 「仕方ねェよな……。やるか」  独りごちて、残りの豆大福を皿に戻した。粉に汚れた手をズボンで拭い、コーヒーを飲み干す。 「桜蔵!コーヒー、もう一杯たのむ」 「はーい」  空のカップを受け取って、桜蔵は足取り軽くキッチンへ駆けた。コーヒーメーカーの前まで来て振り返り、一息ついて気合いを入れ直した珪がPCに向かう姿を確かめて、コーヒーを淹れる。ついでに、自分の分も。カップ二つを両手に持って、クルリと体を反転させれば、PCに集中している珪がいる。愉しげに微笑みながら歩み寄ると、どうやら、本当にチェックはあと少しらしく、画面の下四分の一が、空白になっていた。珪の分のカップをサイドテーブルのソーサーに戻して、PCに視線をやる。  そして、二人は同時に声を上げた。 「あ……」
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