第2章 唯一望んだもの

2/3
68人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
「相変わらずお元気ですね、お母様」 いつも通り(・・・・・)に淡々と無表情で話す娘に、セイラはくすりと笑った。 「ええ、私はいつでも元気よ?セラ。貴女も相変わらず殆ど同じ顔の筈なのに私より数段美人ね」 そんな娘を気にした様子もなく、寧ろ喜ばしげにいつも通り(・・・・・)に誉めそやす。 本来のセランは無表情がデフォルト、そして完璧な笑顔で取り繕わないのは信頼の証。 自分が最も信頼されているという自負があるこそ、より一層に娘への愛情が増す。 分かり辛いこそ、それが二人きりの親子の見えない絆とも言えるのだ。 「さて、久しぶりの感動の再会はさて置いて、私が出て来たのは【神王】……いえ、今回の場合は貴女のお祖母様としてでしょうかしらね。その方から貴女にお願いというか、このトールのせいで予定が何十年も前倒しになったせいでロクに引き継ぎが出来ていないけれど、当初の予定通り世界神の継承(・・・・・・)をお願いしに来たのよ」
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!