閑話1)事件の顛末

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全ての始まりは、ある部屋で起こった事件だった。 「ーー様!せかっ、世界神様ぁーー!!」 バンッ!と派手な音をたてて開かれたその扉は、そのあまりの勢いに破壊される一歩手前という悲惨な有様になってしまったが、そんな状態にした当人はその程度の事など気にせず部屋に飛び込んで来た。 普段は几帳面で、決してそんな事などしない己の部下が気にも止めず、酷く焦った様子から、寝起きの鈍い頭ながらに世界神と呼ばれた彼は首をひねる。 まさに寝起きです、といった風の彼だが、どうやら飛び込んで来た天使はそれを注意するどころではないらしい。 「せっ、せせ、世界神様!そっそそそ、それが、ですねっ!」 どもりながらも必死に言い募ろうとする部下に、彼は何か言いようもない嫌な予感が…強いて言うならば、この報告で伝えられるであろう事件の終幕を閉めるものが己の命をも終わらせる予感がした。 そんな予感に僅かに顔を青ざめさせながらも、世界神たる矜持(きょうじ)で己を奮い立たせ、極力平静を装いつつ部下に尋ねた。 「どうしたんだい、ガブリエル?君が取り乱すなんて珍しい。一体何があったんだい?落ち着いて話してごらん。でなければ僕 が理解出来ないよ」
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