見て

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 とあるSNSに一件の投稿があった。タイトルは「見て」。  添付された写真には、瞳孔の見開かれた瞳のみが映っていた。  SNSには全世界から毎秒投稿が繰り返されている。  幸せな家族やおいしい料理、かわいい動物たちの写真や動画。自分の周りにこんなものがあるのだと人は話さずにはいられない。知ってほしいと呼びかける。なぜ知らないんだと憤る――想いの蟲毒に他ならない。  呪いの根底は「思い込ませること」。恨みつらみは一重二重に重なり続けて、呪った相手と自分を殺す。  瞳はただの瞳ではなく。ただ眼前の、アナタを見ていた。
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