第1章 白いワンピースの女性

2/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「最近、仕事どうよ?」 「うーん、なんかあんまり上司と上手くいかなくてね。」 「またぁ?おまえ、ちょくちょく揉めたりするよな。」 「まぁ、僕が悪いんだけどね。言いたいことなかなか言えないオクテだし。ちゃんと話できるのも翔也ぐらいだよ。」 「…なんか、嬉しいっちゃ嬉しいけど、毎回毎回不安なってくるわ…」 僕はオクテだ。 会社での人付き合いも上手くできない。 上司とも上手くいかないから、会社での仕事が毎日辛い。 仲良くいてくれるのも、中学からの友達である翔也(しょうや)ぐらいだ。 今日も翔也の誘いで居酒屋で飲んでるが、毎回仕事の話になる。 その度に、翔也に不安がられるが、もう慣れてしまった。 もちろん、彼女もいない。こんな性格だから、仕方ないんだろう。 そんないいとこ無しの僕でも、好きなことはある。 写真を撮ることだ。 いろんな場所にある美しい景色を、自分のカメラに収める。 その景色が、更に美しくなるのか、はたまた、ただの風景として終わってしまうのかは、自分の腕次第。 シャッターを切っている瞬間だけ、全ての嫌な気持ちを忘れられる。 それが、僕の生きがい。 唯一、僕が輝ける場所。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!