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「あのっ…!」
思わず口が開く。
「よかったら…一緒に、撮りませんか…?」
勇気を振り絞って出した一言。
彼女は一回きょとんとした顔をしたが、満面の笑みで返してくれた。
「いいですね!撮りましょう!」
その笑顔は、より一層僕の胸の鼓動の高鳴りを速め、
完全に恋に落ちてしまった。
僕のカメラはCanonのEOS60Dだ。
そこそこ古いほうかもしれないけど、充分使える代物。
もう何年も使っているから、愛着が湧いている。
このカメラで、僕だけの世界を映し出してきた。
そんなカメラが、彼女の姿を初めて捉える。
「いきますよー…、はい、チーズ」
シャッターを切る。
ひまわり畑の中で優しく微笑む彼女。
ファインダー越しに見える彼女は、ものすごく綺麗だった。
そんな彼女の姿を、僕のカメラが何枚も捉える。
シャッターを切る音。
僕の中の新しい世界が動き出す音。
何枚も、何枚も。
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