第1章 白いワンピースの女性

6/7
前へ
/9ページ
次へ
「あのっ…!」 思わず口が開く。 「よかったら…一緒に、撮りませんか…?」 勇気を振り絞って出した一言。 彼女は一回きょとんとした顔をしたが、満面の笑みで返してくれた。 「いいですね!撮りましょう!」 その笑顔は、より一層僕の胸の鼓動の高鳴りを速め、 完全に恋に落ちてしまった。 僕のカメラはCanonのEOS60Dだ。 そこそこ古いほうかもしれないけど、充分使える代物。 もう何年も使っているから、愛着が湧いている。 このカメラで、僕だけの世界を映し出してきた。 そんなカメラが、彼女の姿を初めて捉える。 「いきますよー…、はい、チーズ」 シャッターを切る。 ひまわり畑の中で優しく微笑む彼女。 ファインダー越しに見える彼女は、ものすごく綺麗だった。 そんな彼女の姿を、僕のカメラが何枚も捉える。 シャッターを切る音。 僕の中の新しい世界が動き出す音。 何枚も、何枚も。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加