第1章

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それから何故か通勤時に加藤くんは私の前に現れるようになった。 挨拶を交わし、他愛の無い話をして校門に入ったところで別れる。 そんな繰り返しが数日あった放課後、職員室に女子がやって来た。 「浅井先生、相談したいことがあります。二人だけで話せませんか?」 中村さんとは、放課後の教室で加藤くんと一緒にいるところを見てから話していない。 ホームルームや授業で顔は会わせるが、彼女は何事もなかったようにクラスにいた。 何の話だろう あの時のことは誰にも言ってないし、彼女も普通にしてたのに… 「分かったわ、相談室に行きましょうか?」 「はい。」 私が先に歩くと、中村さんは後ろについてきた。 相談室は職員室の隣の四畳半くらいの部屋で、テーブルの両側に3人掛けのソファーが向かい合わせにおいてある部屋だ。 進路相談や、問題のある生徒の聞き取りなど、生徒と教師の話す場所だ。
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