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「そうかな、彼は気付いたんじゃない?
大事なものは何か…
欲望に走ったって本当に欲しいものは手に入らないって…。」
「それって私が彼の欲しいものじゃないって言ってるの?
浅井先生は私と加藤くんが付き合うことが気に入らないからそんなこと言うんでしょ?」
「付き合っちゃダメって言ってるんじゃないの。
体より大事なものを見つけて欲しい。ちゃんと恋をして欲しいの。
じゃないときっといくら抱き合っても満たされない。
そう思うから…
気持ちが無いのにそんなことをすると、心のどこかで自分も相手も嫌悪するようになるから…。」
「だから何、勝手に自分の考えを押し付けないでよ。私たちは上手くいってた。浅井先生が余計なことを言う前まではね。」
苛立つ中村さんが鋭い視線を向けながら身を乗り出してくる。
分かって欲しい。
そのまま続けても気持ちがなければ関係はつづかない
そんなことをしてたら、結局女性が傷つくんだってこと…
「私が言う前から彼は、抱いた後相手と一緒にいるのを苦痛に感じていた。
私が言わなくてもきっと彼は貴方から離れたよ。」
「嘘よ!彼は私を抱きたがっていた。」
睨み付けるように話す中村さんに、体だけじゃなく加藤くんのことが好きだったんだろうとわかる。
それなら体を許す前にちゃんと相手と恋をしなさいと伝えたい。
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