第1章

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昼休み、お弁当を食べてまったりしてると 「浅井先生、明日の夜のご予定は?」 その声に聞こえないふりをしたくなる。 もちろん高橋先生だ。この間から再三山口先生のお宅に一緒に行こうと誘ってくる。 行きたいなら一人で行けばいいのに… 彼女には誘わなければいけない理由がある。 知ってるけど、私は山口先生のお宅にお邪魔する目的はないし、興味もない。 山口先生は苦手だ。何かにつけて気づけば側にいるし、私が荷物を持っているとさっと奪い取り 「持ちますよ、どちらに持っていくのですか?」 などと言う。 回りの先生たちも冷やかすように 「山口先生は浅井先生に優しいですね。」 そんな風にからかうもんだから、何となく職員室内では公認の仲のように取られてる気がする。 これ見よがしに先生たちの前で優しくするのはやめてほしい。 「大丈夫です、一人で持てますから。」 「あらら、山口先生、ホラもっと押さなきゃ逃げられますよ。」 「分かりました、先生方の応援を無に出来ないでしょ?僕に任せてね。」 取り返そうとすると、私の手を避けるようにして 「行きますよ。」 山口先生はイタズラな目を向ける。 仕方なく荷物を持ってもらい彼の横に並ぶ。 山口先生は狡い。回りを巻き込んで近づいてくる。先生方の手前、無下に断れなかったりする。
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